【補足という名の下記忘れ】なぜ綾波は田植えをする必要があったのか

すみませんが補足です、というか書き忘れました

 

先程の話でQ版綾波が第三村で成長することで綾波オリジナルに相当する感情を獲得した、って言いましたよね。

その証拠としてプラグスーツが黒から白に変わるって言いました。

 

書きわすれましたが重要な証拠がもう一つ

 

シンジくんはQ版綾波の死ぬ直前に、「名前考えたけど、綾波綾波だよ」とQ版綾波綾波と再度名付け直すのです。

 

これはQからずっとシンジくんが「綾波じゃないのに…」って言っていた、オリジナル綾波になれなかったQ綾波が、ついにオリジナルに相当する感情を得たことを指すのです。

 

書き忘れすみません。これは大事なことだったので補足として書き足します。

なぜ綾波は田植えをする必要があったのか【シン・エヴァンゲリオン考察】

【この記事はシン・エヴァンゲリオン劇場版のネタバレを含んでいます】

【セリフについては記憶で話すしかないので、一言一句同じとは限りません。なるべく同意であるよう努めてます】

 

 2021年3月15日、私の14年間の夢が終わった。

 シン・エヴァンゲリオン劇場版を見て、私が最初に思ったことはそれだった。

「序」を中学生の時に友達の強いお勧めで見せられ、まんまと沼にハマりTV版・旧劇場版を即履修、高校生にともに進級した勧めてきた友達と「破」を視聴、大学生になって新しくできた友達と「Q」を見て、そして漫画が完結し、勤め先が近い高校の同期と、社会人になってからできた友達と「シン」を見た。思えば私の成長とともにエヴァはいつもそこにいた。それがようやく終わったのだ。

 先に言おう、私は「シン」の感想は大満足であった。許されるならその場で拍手を送りたかった。ありがとう、さようならすべてのエヴァンゲリオン。ありがとう、庵野監督。私の青春に物語を一つ書き加え、それを終わらせてくれて。心よりの感謝を。

 

 

 さて本題に入ろうか。こっからは硬い口調はやめて砕いた文体でいこう。読みにくいしね。

「シン」映画が公開されてから、公式からネタバレ絶対禁止令が一週間敢行された。ネタバレ禁止令ってなんですか?という感じなのはさておいて、じゃあ公式はどんな宣伝予告をするんだってばよ?という話である。そして程なくして、その回答が公式から公開された。

 

綾波の田植えである。

 

Twitter世界にて反響が走る。「なんでこのシーンなんですか」「いや見たけどこのシーン一体何だったんだ」「ネタバレだって騒ぐなよ、全部見てもこのシーンの意味はわからないんだから」

まあQ見た状態でこんなもん見せられたら困惑するわな、Qで壊滅した世界とカヲル君のDSSチョーカーが爆発する汚え花火を見せられて、続きの映像が綾波の田植え。「シン」を見た皆さんなら分かると思うけど、確かにこのシーン以外全部ネタバレになるわけで、ここしか予告では見せられない。しかし、全部見たとしても、先述の通りこのシーンは何のためにあったのかぱっと見ではよくわからないだろう。第三村での綾波の田植え・芋掘り・株洗い。世界の書き換えを懸けた最終決戦である最後の映画において、このシーンなんか意味あるんですか??

 

 

 

あるんですよ。間違いなく。

 

筆者の一意見に過ぎないが、この綾波の農作業シーンは映画のラストシーンに行き着くためには必ず必要だった。

それをこの記事で解説していこうと思う。繰り返すが、以下の説明はあくまでも筆者の一解釈に過ぎない。異論は認める。そして私は「シン・エヴァンゲリオン」の全肯定派閥である。以上を考慮した上で、記事を読み進めてくれ。

 

【なぜ綾波は田植えをする必要があったのか】

 

先に結論を述べておこうと思う。

 

【じゃがいもを落とすため】

 

である。意味わかんないって??俺もこれだけ聞かされたらそう思うと思うよ。

まだ記事は閉じないでくれ、ちゃんと説明するから。なるべく簡潔に書くから。

 

  1. 結局シン・エヴァンゲリオンとはどういう話だったのか

 

綾波の田植えの意味に行き着くには、まずここから理解する必要がある。

私の答えはこれだ。

 

「シン・エヴァンゲリオンとは、シンジがゲンドウにカセットテーププレイヤーを返還することで、無限ループの流れを断ち切り、新しい世界を構築し直すという物語である」

 

この物語はTV版—旧劇場版世界と、新劇場版世界すべてが繋がったループする物語なのだ。

それが、「シン」によってほぼ確定的に明らかになった。そしてそのループを、シンジ君がゲンドウにプレイヤーを奉還することで、ループから脱する、というのがこのエヴァンゲリオンシリーズ全体のはなしなのである。

 

(てか、先にネタバレしてしまうが、上の【答え】、つまりループ説があってようが間違ってようが、結局綾波の田植えはシン・エヴァの最後にたどり着くためには必要である、という結論になる、なのでループ説反対論者は第二節から読んでくれ)

 

以下に①この物語がループしているという根拠と、②TV版—旧劇場版世界と新劇場版が繋がっているという根拠を示す。

 

1.1 この物語がループしている、という根拠

エヴァンゲリオンの「序」が公開されてから、この世界は繰り返されている、つまりループしているのではないかという疑惑があった。それは「序」のラストシーン、月面のタブハベースで棺桶から目覚めたカヲルくんのセリフ、「また三番目とはね。今度こそ幸せにしてみせるよ、碇シンジくん」が元である。これは碇シンジが前にも一度サードチルドレンとしてエヴァパイロットに選ばれたということを示している。てかこっから先のカヲルくんのセリフはもう無限に物語を何回も繰り返している人のセリフでしかない。めんどくさいので以下箇条書きにする。

 

カヲル君お前無限に繰り返してるよね発言

【序】最後

「また三番目とはね。今度こそ幸せにしてみせるよ、碇シンジくん」

【破】最後、Mark6とカシウスの槍で、ニアサードを止めた時のカヲルくん

「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ、碇シンジくん」

【Q】

ピアノをシンジくんに教えるシーン

「反復練習だよ、それしかない。同じことを何回も繰り返すんだ。いいなと思える音が出るようになるまで」

DSSチョーカーが爆発し汚え花火になる直前のカヲルくん

「縁が君を導くだろう。また会えるよ、碇シンジくん」

【シン】

ヤマト作戦実行中、ゴルゴダオブジェクトの中で、13号機の中に情報として残っていたカヲルくんのセリフ(碇ゲンドウ電車下車後)

「思い出した、何度もここで君とあっている」

そして最後、加持と話すカヲルくんの過去回想のシーンで、実は月面のタブハベースの棺桶は円環状に無限に配列されており、今まで別のカヲルくんが何回も目覚めていること(開いた棺桶)、そして次のループの時に目覚めるためのカヲルくんがすでに準備されていること(未だ閉じている棺桶)が分かる。序の最後で9個あったように見えた棺桶は実は無限個あったのだ。

 

よって新劇場版の世界は何度もループしており、カヲルくんは前回までのループの記憶を保持していることがわかった。新劇場版では、TV版世界と違いカヲルくんが第一使徒であり、なおかつ最後の使徒・第十三使徒であることもそのループを示唆している。(第十三使徒になってしまったのは、Q最後でゲンドウが画策した結果、再起動したMark6の中に仕込まれていた第十二使徒にカヲル君が意図せず取り込まれたからであるが…)

 

従って、この世界、少なくとも新劇場版世界は何度もループしていることはほぼ明らかになった。

 

1.2 新劇場版世界はTV版-旧劇場版世界と繋がっているという根拠

 

これは、シンジVSゲンドウの最終決戦、マイナス宇宙に残されたゴルゴダオブジェクトの中で明らかになる。もうまじでこのあたりの展開と伏線回収がやばい。脳汁がドバドバ出てた。この編の展開のアツさ、今までの序破Qでばらまかれた問題提議に対する回答がちゃんとされていたことに対してはまた別の記事で書きたいし語りたい。

(マヤのQからのセリフ、「これだから若い男は…」→ヤマト決戦時「これだから若い男は」)

(アスカ「なんで私が殴りたかったか分かった?」→シンジ「僕が「破」の時、何もきめなかったから、殺すことも、助けることも」)

(破でアスカの生死不明になった時暴れたシンジに対するゲンドウ「大人になれ、シンジ」

→ミサトの死とガイウスの槍を受け取ったシンジを見たゲンドウ「人の死と想いを受け取れるようになったのか、大人になったな、シンジ」)

いや、やっぱま〜〜〜〜じでシン・エヴァアツイよ、最高だぜ!!!

 

はい、本筋に戻ろう。

まず明らかになっていることだが、「確実に碇ゲンドウはTV版—旧劇場版の記憶が残っている」。

ゴルゴダオブジェクトの中、シンジと対話するゲンドウが以下のセリフを述べている。

あれは確かエヴァ・イマジナリの中にロンギヌスとカシウスが吸収されアナザーインパクトが起こるときだったと思う。

ゲンドウ「他者との境界のない、孤独も確執もない世界の創生、お前が選ばなかった世界だ」

 

これは明らかに旧劇場版で碇シンジが補完計画の核となった時、「でも、また(みんなと)会いたいと思ったから」という理由で補完を拒絶、人としての境界を持つシンジとアスカが戻ったことを指している。ゲンドウは碇シンジを核として補完計画を行った記憶があるのだ。だから今回は自分自身を核として補完計画を実行することを選んだ。(もちろんシンジが保険として計画発動トリガーの役割を持っていることはQで示唆されている)

 

そしてゲンドウがシンジの成長とシンジの中に残るユイの愛に気付き電車を下車した後、旧劇世界の伏線回収は続く。

 

この後にシンジはカヲル→アスカ→綾波という初号機と十三号機の中に残っていたヒロイン(?)達の魂を片っ端から救済していくトンデモ主人公ムーブをかます

なんでみんなの魂がここにあるのかは下に雑に示す。

  • カヲル→Qで13号機の中で汚え花火と化したから
  • アスカ→ヤマト作戦時、使徒化した状態で13号機に食われている
  • 綾波→破の最後、ゼルエルの中からシンジが引っ張り出し初号機の中に取り込んだ。Qの時には初号機の中にいなかったとリツコが言っているが、初号機の中にオリジナルの情報が残っていると冬月が言っている。なおかつゴルゴダオブジェクトの中で出てきた綾波は髪が伸びており、14年間ずっと初号機の中に残って操舵ハンドルを握っていたことを示唆している。

 

この時

  • カヲル君と話す時の背景「思い出した、何度もここで君とあっている」の時、TV版-旧劇場版世界でカヲル君とシンジが初めて出会うシーンの背景になっている。(湖と、天使像の上に腰掛けてたそがれるカヲル君)この背景は新劇場版の世界では無かった。旧劇場版の世界以外この背景で二人がしゃべるシーンはないのである。
  • アスカと話す時の背景は言わずもがな、旧劇場版の最後のシーン、有名な「気持ち悪い」のシーンである。赤い海と白い砂浜、打ち上げられたカッコのアスカ。間違いない。そしてもちろん新劇にこのシーンはない。
  • レイと話すシーン。なんかもう背景に今までのTV版のタイトルと新劇のロゴ出てる。出てるよ。露骨。もう関係ないわけないっしょ。

 

そして最後、ガイウスの槍を使い、世界を書き換え、エヴァンゲリオンに乗らなくていい世界・ネオン・ジェネシス(新世紀)を創るシンジ時のシンジのセリフ。

「さよなら、全てのエヴァンゲリオン

これは本当にうまい。これはエヴァの存在しない世界のことと、TV版-旧劇、新劇の全てのエヴァンゲリオンシリーズが終わりを迎えることを意味している。

 

他に新劇は旧劇と繋がっているのではという考察の種を巻いておく。

・新劇で海が最初から赤くなっているのは旧劇最後にリリスの血で海が染まったままだからでは?(でも破で海水浄化施設で加持が海が赤くなったのは新劇のセカンドインパクト時と示唆されているのよ)

・新劇月面に飛散した血がある、これは旧劇最後にリリスの血が撒かれた時についたのでは?(でも絵コンテでは新劇セカンドインパクト時に月に血が飛んでるって書いてあるのよ)

 

 

 

 

  • 結局どの話がどうつながってループなのよ?

 

 以上により、①新劇場版がループの物語であること、②TV版-旧劇場版世界と新劇場版世界は繋がっている ことを示した。

 

 いやその2つは分かったけど、じゃあどれがどう繋がってループなんですか、という当然の疑問が発生する。だがこの検討は相当むずい。一番議論を沸かせるところだと思う。

 私も相当考えたけど、何がどう繋がってループなのか、は以下の2つの構造のどちらかではないのかと踏んでいる。

 

  • 旧劇トリガー・新劇ループ構造
  • カセットテープ型A面B面ループ構造(メビウスの輪型ループ構造)

 

1.3.1 旧劇トリガー・新劇ループ構造

 

 これは旧劇は最初の一回目のループのみであり、それがトリガーとなり新劇場版の世界に移動、その後「序→破→Q→ヤマト作戦が失敗、旧劇世界の結末と同じようにシンジとアスカのみが残りまた序に戻る」ループを繰り返しているという説だ。

 まず旧劇場版世界最後に、シンジが補完計画を拒絶、アスカとシンジのみが二人で地球上に残る。なんでアスカなのかというと、アスカだけがシンジとの同化を拒絶したからである(旧劇見て)。ここからが私の推論だが、この二人が残ったのは、旧約聖書におけるアダムとイブ(最初の人類)に二人がなったことを意味している。(言わずもがなエヴァ旧約聖書の内容を踏襲している。ゼーレが参考にしている死海文書は旧約聖書最古の写本である)そして人類史は再びゼロから始まる。

 そして長い長い年月を経て、「旧劇のシンジくんに限りなく近いけど別人であるシンジくん」が生まれる。ジョジョを知っている人であれば、第六部の最後にエリンコ・プッチが時間を加速させ世界を一巡させ、同じような登場人物が揃う世界がもう一度揃い第七部が始まる展開をイメージしてもらえればそれに近いだろう。ジョジョ6部の時は一体どういうことだってばよ?と私はなったが、今回はその結論に行き着きやすい。

 

 なぜ以前のシンジくんに相当する新劇シンジくんが生まれるのか?

 

 それは、そもそもTV-旧劇世界が旧約聖書の出来事が真としてそのまま続いた世界であり、なおかつゼーレは昔から死海文書(旧約聖書)のシナリオ通りになるように太古から世界を裏で操っていた組織だからである。

 

おそらく死海文書にはアダムとイブの話から〜ネルフの発足〜シンジくんの誕生〜使徒の出現〜まで全部書いてあるんじゃない?だからずっとその死海文書通りにストーリーをなぞればシンジくんは必ず生まれるのよ。でも死海文書にはその世界がループするとは書いてない。人類補完計画は葛城博士が勝手に提唱したものだし、ゼーレはその補完計画を死海文書のシナリオを使って途中でオリジナルでぶっ込んだものだからね。(その結果世界がループするとは知らずに)

 

だから補完計画のやり方が旧劇と新劇で違う。死海文書には補完計画の内容は書いてないから。

 

じゃあなんでみんな別人なのに旧劇場版の記憶があるんだよ?って思うよね。

まずゲンドウは確実に旧劇場版の記憶がある。なぜか。おそらくゲンドウだけが持っている裏死海文書あるいは裏死海文書外典、あるいはネブカドネザルの鍵にその情報が入っているからではないかな??明らかにゼーレは知らないけどゲンドウだけが知っている情報があるのは劇中で明白。きっとその中にこの世界がループしていることが含まれているんだろう。

 ゲンドウ以外の先に述べた人たち(シンジくん・アスカ・レイ・カヲル君)が旧劇場版の記憶がある理由は、おそらくゴルゴダオブジェクトだ。ゴルゴダオブジェクトは、ゲンドウのセリフ「最初からそこにあった」「人類ではない何者かがこれを置いた」「ここにユイも眠っている」、から、私はアカシックレコードに相当するものではないかと思っている。

 アカシックレコードとは、宇宙誕生以来の全ての出来事の痕跡が刻まれている世界記憶の概念である。(詳しくは調べろ)だから、限りなく近い別人であっても、ゴルゴダオブジェクトに触れた彼らは今までのループの記憶を引っ張り出せたのだ。さらに、ゴルゴダオブジェクト内の綾波は、ずっと初号機に乗っていて、第三村に行った黒い綾波とは違う素体なのに、鈴原ツバメ(トウジの赤ちゃん)の人形を持っている。よって綾波シリーズの全ての記憶をこの綾波は持っている。さらにさらに、式波の回想シーンでも、式波シリーズのオリジナルが幼少期のシンジくんに会っていた描写がある。その記憶を、破でシンジくんと初めて会った式波〜シンの式波が受け継いだのである。よってゴルゴダオブジェクト=アカシックレコード説の根拠とする。

 

話を進めよう。でそのまま旧劇から地続きでシン・エヴァ世界まで時間が経過。ヤマト作戦が実行される。でもこの時シンジくんはループしてしまう。なぜか。私の考えは2つ。

 

  • ゲンドウが核として補完計画は実行されるが、結局シンジくんに核が移る。(これは旧劇場版で綾波がゲンドウを拒絶しシンジを選んだ再演となる)
  • ゲンドウがシンジくんを恐れているため、(ゲンドウがATフィールドを貼った時にセリフでそう言ってるよ)結局補完計画が達成されず、ガイウスの槍を手にしたシンジくんに核が移る

 

つまり何か起こってシンジくんに保管計画の核が移るのだ。そしてシンジくんに世界改変の権利が与えられる。そしてシンジくんは何を望むか。

 そこでシンジくんは、世界のやり直しを望んでしまうのである。

 Qの内容を思い出して欲しい。シンジくんは最後に、ロンギヌスの槍とカシウスの槍と13号機を使って、自分が壊してしまった「世界のやり直し」を求めたのだ。その状態から精神が成長できなかったシンジくんは、自分の罪を受け入れられず、世界(あるいは時間)のやり直しを求めてしまうのである。その伏線はゴルゴダオブジェクトで綾波と話しているときのシンジくんのセリフにある。「時間も世界も巻き戻さない、ネオン・ジェネシス」を目指すと。つまり時間や世界を巻き戻す考えがシンジくんの中にはあったのである。ネオン・ジェネシスを目指す精神構造まで成長できなかったシンジくんは世界(あるいは時間)を巻き戻す。

 

 そして、物語は新劇の序の最初に巻き戻る。これで旧劇をトリガーとして新劇世界を繰り返すループ構造が完成する。以上です。

 

あ、なんでカヲルくんだけループの記憶があるかっていうと、月面はループの対象から外れてるから。旧劇場版を見れば分かるけど、補完計画の発動の際、あくまでも補完されているのは地球のみ。ゆえに月面はループの外にあり、カヲルくんが無限に棺桶から目覚め続ける。

 

1.3.2 カセットテープ型A面B面ループ構造(メビウスの輪型ループ構造)

 

ほとんど旧劇トリガー・新劇ループ構造と同じ。ただ最後に彼は時間を巻き戻すことを選ぶ。

戻り先が今度は違う。今度はTV版の最初へ。これでTV版-旧劇-序—破-Q-ヤマト作戦-TV版の全てが一つになったループが完成する。まるでシンジくんが大好きなカセットテープみたいにA面(旧劇世界)とB面(新劇世界)を繰り返し聞いているみたいだね。もしかしてカセットテープはその暗示じゃない?という考察です。

 

2.なぜ綾波は田植えをしなければならなかったのか

 

 ループ構造に対する考察でこんな文章量になると思っていませんでした。すいません。

 ここで本筋に戻ります。長くなってごめんね。この節ではようやく、綾波の田植えの話になります。

 

2.1 なんでシンジくんはループを脱出できたのか。

 

 答えは最初に言いました。シンジくんがゲンドウにカセットテープを返還したからです。もっというとゲンドウとちゃんと対話したからです。

 旧劇で全く叶わなかったゲンドウとの会話。これがこの世界では叶うのです。

 

 

ゲンドウと会話することによって、シンジはゲンドウと自分が同じだったことを知るのです。ずっと孤独を感じてきたこと、愛しい人を失って辛い気持ちを知ったこと。でも保管計画は失敗します。(シンジくんを恐れてATフィールドを張ってしまったからね)

故にゲンドウは呟く。「その弱さが故に、またユイを失うのか…」

 成長したシンジくんは返す。「その弱さを、認めなかったからだと思うよ」

 ゲンドウは息子に答えを出されたことに驚愕し、シンジに注目する。

 そしてミサトの死とガイウスの槍が届く。

「ありがとう、ミサトさん

 そしてゲンドウは呟く。「人の死と想いを受け取れるようになったのか、大人になったな、シンジ」

 これは明らかに破でアスカを使徒として処理した後に、ゲンドウがシンジに言った「大人になれ、シンジ」のアンサーになっている。激アツ。あの時シンジはアスカの死(死んでないけど)を受け入れなかった。使徒を倒すために仕方がなかった事実を受け入れられなかった。更には自分の手でアスカを殺すことも救うことも決断できなかった。(故にアスカはQでシンジをなぐりたかった)(アスカはシンジになら殺されても良かった、とも解釈できるのよ。エモ!!!!!)

 

そしてゲンドウはシンジの中にユイの愛が受け継がれていることを知る。その相貌に在りし日のユイのそれを幻視する。

「そこにいたのか、ユイ」

 ゲンドウは知る。人はいずれ死ぬことを。そして、死して尚、ユイの愛はちゃんとシンジの中にあり続けていたことを。アナザーインパクトなんてなくても、ユイの心はちゃんとそこにあることを。

 だからゲンドウは自分からアナザーインパクトという電車から降りた。

 シンジくんゲンドウとの対話を経た状態でガイウスの槍を手に入れ、アナザーインパクトの中心となった。やり直しの願った父親との和解を経て、シンジは世界の巻き戻しではなく、エヴァの存在しない世界<ネオン・ジェネシス>を目指すのである。

 

話を戻そう。じゃあなぜゲンドウと対話できたのか。ゲンドウはシンジを恐れていたため、シンジを拒絶するためATフィールドを張った。心の壁がそこにあった。

 

 だが、かつての父の持ち物であったカセットテーププレイヤーはそのATフィールドを透過できる。

 

 シンジはそれを使って父との心の壁を破ったのだ。故に対話が始められたのだ。だから父親との和解が成立し、精神的に成長したシンジは<ネオン・ジェネシス>を目指せたのだ。もしかしたら、世界のやり直しを願ったシンジはゲンドウと和解するために戻るのかもしれないね。

 

さらに遡ろう。じゃあなぜシンジはゲンドウにカセットテーププレイヤーを返そうと思ったのか。

 

 綾波が第三村・ネルフ施設跡地でシンジくんにカセットテーププレイヤーを返したからである。

 

 その時に綾波は言った。「教わった。落としたものは、返す」

 

 だからシンジは父親が残したカセットテーププレイヤーをゲンドウに返そうと思い至ったのである。

 

 綾波が言ったことはひどく当たり前のことだ。故にだれもその当たり前のことを言わない。普通の人だったら「落としたよ」って返すか、もういらないもんだと勝手に判断して捨てる。てかシンジくんいらなそうだったしね。

 

 だが、もともと何も知らなかった初期ロット綾波はその当たり前を発言する。いらなそうでもシンジくんに返す。このセリフと行動は綾波にしかできない。

 故にシンジくんははっと気づくのだ、「落とし物は、本人に返さなきゃ」とね。

 

 じゃあなんで綾波はその当たり前を知ったのか。

 

 

 

 じゃがいもを落としたからである。

 

 

2.2 故に田植えは必要だった

 

 やっと結論まで来ました。本当に長くなってすいません。

 

 じゃがいも落としたシーン覚えてます?綾波が第三村で図書館に改造された車両を訪ねた時に綾波がじゃがいも落とすんですよ。そこで名も知らない少女がそのじゃがいもを綾波に拾って渡すんですよ。そこで、「拾ったから、返す」って言うんですよね。

 

 そこで綾波は、「そうか、落としたものは持ち主に返すんだ」って知るんですよね。

 でもそのことを知るためには必要なものがあるんですよ。それは何か。

 

 答えは「自分のもの」です。

 

 綾波、特にQで新しく出てきた綾波には自分のものなんて一つもなかった。自分の意志ですら持ってなかった。だって命令を遂行することだけしか綾波にはなかったから。

 だから綾波にはまず落とす「自分のもの」が無かったのである。

 

 故に綾波には自分のものを自分の力で生み出す必要があった。それが田植えである。

 

 まあ正直落とすのはじゃがいもだから、田植えじゃないじゃんって言うかもしれない。でも田植え=じゃがいもでいいと思う。農作業の始まり=田植え、農作業の終わりである収穫=じゃがいもで代用したのよね。さすがにそんな稲が実るほど作中で時間経過させることはできないから。

 そこは時間跳躍の代わりの田植え→じゃがいも収穫のすり替えなのよ。だから綾波は「ホントは稲刈りしたかった」って消える直前に言ったのよ。

 

 そしてQ版綾波は死ぬ。そこでシンジは大切な人の死を今度こそ経験する。(それもゲンドウの狙いであることは作中で述べられる)

 だから最後にゴルゴダオブジェクトで対話する綾波とは別に、0から自分のものをたくさん得てオリジナル相当の感情を持つに至り、そして死ぬ綾波が別に必要だった。

 (Q版綾波がオリジナルの感情に追いついたのは、消える直前にプラグスーツが白くなったことがその暗示になる)

 

 まとめると、

 シンジくんがゲンドウにカセットテーププレイヤーを返すことでループを脱出するため、シンジくんにものを返すことを教えるために綾波の田植えは必要だった

 

 

 以上でこの記事は終了かな。一万文字になるとは思いませんでした。

 ここまで読んでくれた人なら分かると思うけど、実はこの作品がループしてようがしてなかろうが、シン・エヴァの最後のネオン・ジェネシスにたどり着くためには綾波の田植えは必要なのよ。

 シン見てループ説が明らかになったので興奮して繋げてみました。

 この作品はみんながいろんな解釈できてほんとうに楽しい作品だと思う。

 いろんな解釈はまだまだできると思うけど、ちゃんゲンドウと対話させてシンジくんを成長させて終わらせてくれてくれて、本当にありがとう、庵野監督。

 

 さようなら、全てのエヴァンゲリオン

 

 

 

 

 

はじめましてのご挨拶

こんにちは。

これはテストを含めた初回記事です。

基本的に漫画・アニメ・映画・小説・音楽・ゲームの話題になると思います。

ブログを始めたわけは、自分が作品を消化して思ったことを言語化し、

それを他者と共有するためです。

 

更新頻度はわかりません。気が向いたら書きます。

本当に消費者の一意見に過ぎませんので、それでもよければ時間つぶしに読んでいってください。

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